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佐藤 修彰*; 桐島 陽*; 佐々木 隆之*; 高野 公秀; 熊谷 友多; 佐藤 宗一; 田中 康介
燃料デブリ化学の現在地, 178 Pages, 2023/11
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故の廃炉作業は、燃料デブリの試験的取り出しや、その後の計画の検討が進められているが、今後も長期間を要する見込みであり、次世代への廃炉やデブリに関わる科学技術の継承、すなわち人材育成が重要かつ不可欠といえる。そのために、廃炉に特化した内容についての具体的な教科書が必要と考えた。1Fの燃料デブリに関しては、まだまだ、十分なことが分かっておらず、詳細についての記述は難しい。しかしながら、事故後12年を経過し、1Fの状況について分かってきたこともあり、また、過去の過酷事故の例を合わせて現状を整理してみることは、これからの展開に必要不可欠である。そこで、廃炉や燃料デブリに関する研究開発に携わってきた専門家、研究者により、固体化学や溶液化学、分析化学、さらには放射化学、放射線化学の観点から、燃料デブリ化学研究のこれまでの進展を本書「燃料デブリ化学の現在地」としてまとめた。
平出 哲也
AIP Conference Proceedings 2182, p.030007_1 - 030007_5, 2019/12
被引用回数:2 パーセンタイル:84.29(Nuclear Science & Technology)室温イオン液体の利用は多くの分野で行われている。そのひとつは使用済み核燃料の再処理であり、室温イオン液体の放射線の影響に関する研究は重要である。過剰電子の反応のように速い過程を研究するためには、陽電子消滅法は重要な手法である。非常に早い時刻における反応を理解するために、陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定を行い、ポジトロニウムが作るバブルの形成が室温イオン液体の中では非常に遅いことが分かってきた。また、室温イオン液体の融点付近において、ポジトロニウム形成直後にポジトロニウムが作るバブルに振動が見られることが明らかとなった。このことから、例えば、室温イオン液体中のポジトロニウム形成はピコ秒程度の速い反応であることが言える。このように従来の液相とは違うポジトロニウムが示すいろいろな現象について議論を行う。
熊谷 友多
Radioisotopes, 66(11), p.537 - 541, 2017/11
固体と水との混合物に対する放射線効果は、シリカ等の無機酸化物を対象に研究が進められてきた。界面でのエネルギー/電荷移動が多くの実験で確認され、初期過程において有意な影響を持つことが示された。しかし、後続の界面反応は課題として残されている。ここではゼオライト,ウラン酸化物を例に挙げるが、この課題は基礎と応用との隔たりとなっている。ゼオライトと水との混合物では、一般に含水量に比べて高い水素発生量が観測される。エネルギー/電荷移動の概念は、このゼオライトによる水素発生量に対する影響に解釈を与えるに留まっており、定量的な説明はなされていない。ウラン酸化物と水との界面での放射線誘起反応は水との接触下での核燃料の腐食を引き起こす。しかし、水の放射線分解生成物による反応は、過酸化水素と酸素を除いて分かっていない。短寿命活性種の反応に対する理解は、粒界腐食への放射線の影響を知るうえで必要となるだろう。固液界面での放射線化学が有意義な知見として結実するには、エネルギー/電荷移動に後続する反応過程の理解が重要であり、基礎と応用との隔たりを克服するためさらなる研究が必要である。
平出 哲也
Radioisotopes, 66(11), p.587 - 593, 2017/11
陽電子は電子の反粒子であり、固体や液体中に入射された陽電子は電子と100ピコ秒から数ナノ秒程度の寿命で消滅する。その際にその質量エネルギーがほとんどの場合2本の線として放出されるが、これら線を計測し得られるエネルギーや消滅率から、消滅直前の状態についての情報を得ることができる。また、ある確率で陽電子は過剰電子とポジトロニウム(Ps)という結合状態をピコ秒程度までに形成し、ピコ秒までの反応のプローブとなりえる。また、その後、三重項Psが消滅するナノ秒までの時間に起こる反応により、スパー内活性種に関する議論も可能となる。ここでは、放射線化学に関連する情報がどのように得られるのか、また、放射線化学に関連した過去の研究について解説し、放射線化学への陽電子消滅の利用の可能性について解説する。
山下 真一*; 岩松 和宏; 前橋 佑樹*; 田口 光正; 端 邦樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*
RSC Advances (Internet), 5(33), p.25877 - 25886, 2015/02
被引用回数:12 パーセンタイル:37.81(Chemistry, Multidisciplinary)ブロマイド(Br)は水酸化(OH)ラジカルと反応して分子吸光係数の大きな中間体を生じるため、放射線誘起水中OHラジカルの反応プローブとして使われてきた。放射線照射後ナノ秒領域のOHラジカルの挙動を解明するためにはBrの濃度を高くする必要があるものの、高濃度のBrとOHラジカルの反応機構は不明であった。NOおよびArで飽和した0.9-900mMのNaBr水溶液へのパルス電子線照射によって生じたOHラジカルとBrの反応中間体の時間挙動を光吸収により計測した。BrはOHラジカルと反応してBrOH、さらにBrを生じる。異なる実験条件で得られたBrOHやBrのタイムプロファイルに対して、既報の反応速度式、速度定数を用いたスパーモデルシミュレーションを行った結果、10mM以上の高濃度条件では、2BrOHBr + 2OHの反応(反応度度定数: k=3.810 Ms)を新たに考慮することで実験結果をよく再現できることを明らかにした。
平出 哲也
Radiation Physics and Chemistry, 76(2), p.84 - 89, 2007/02
被引用回数:3 パーセンタイル:25.42(Chemistry, Physical)放射線化学とポジトロニウム化学には多くの接点が存在する。モーゲンセンによって提唱されたポジトロニウム形成のスパー反応モデルは多くの放射線化学の知識を必要とする。一方、このスパー反応モデルは新しいアイデアを放射線化学者に示すことができた。ポジトロニウム形成は非常に速い反応であり、Dupratreらによって示されたように、放射線化学分野のパルスラジオリシスの結果とポジトロニウム形成には非常に良い相関が見られる。低温域で見られるポジトロニウム形成の増加は低温域で形成される捕捉電子と陽電子の反応によりうまく説明されたが、放射線化学においては捕捉電子の研究とは多くされてきており、これらの研究なくして、このポジトロニウム形成機構の解明はなかったと考えられる。そして、逆に、陽電子利用により捕捉電子などの新しい研究が可能となっていくと考えられる。
田口 光正
放射線化学, (77), p.2 - 7, 2004/05
近年、高エネルギー重イオンの利用は原子核物理研究に留まらず、材料開発や生物学,医療などさまざまな分野へと拡大している。これら応用研究の基礎として、単一イオンについて、高エネルギー重イオンと物質との相互作用における物理過程(線量分布),物理化学過程(初期活性種の挙動)及び化学過程(ラジカルによる反応収率)について明らかにすることは非常に重要である。本論文では、水中での重イオン誘起化学反応について、これまでに行われてきた研究成果を、線量分布,平均反応収率,微分反応収率及び初期活性種挙動の4つテーマに分けて、それぞれ現状や動向,今後の研究課題等について展望を述べる。
荷電粒子・RI利用解析検討委員会ワーキンググループ
JAERI-Review 2003-008, 42 Pages, 2003/03
平成15年度を目途に設置を目指している「放射線利用理論解析グループ」について、その放射線利用研究分野における位置付け,本解析グループが進めていく研究と、これまで高崎研において行なわれてきた解析研究とのかかわりなどについてまとめる。これまで実験的手法を用いて生み出されてきた多くの実用的成果を活用し発展させるために、まず、荷電粒子の物質への反応過程や放射線照射効果などの解析から、中核的要素のみを抽出し単純化したモデルを構築する。そして、そのモデルに基づいて理論解析を進め、導出された計算結果を実験系へフィードバックし検証実験等をすることによって、構築したモデルの妥当性を検証する。最終的には、得られた特定の系に関するモデルを汎用化・普遍化させることにより、汎用理論化を推し進め、他の系への応用、延いては新技術開発の促進を目指すものである。
平出 哲也
放射線化学, (75), p.46 - 51, 2003/03
1980年代から低温でいろいろな物質中でポジトロニウム形成の増加現象が見られてきたが、その後、長い間、誤った解釈がされてきた。1998年、新しい機構でこの現象を説明し、予言される現象を実験により確かめてきた。このポジトロニウム形成機構を現在まで行ってきた実験結果をもとに説明し、また、この機構をもとにポジトロニウム形成の放射線化学的実験手法としての可能性についても述べ、解説する。
小泉 均*; 田口 光正; 小林 泰彦; 市川 恒樹*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 179(4), p.530 - 535, 2001/09
被引用回数:7 パーセンタイル:48.66(Instruments & Instrumentation)TIARA施設AVFサイクロトロンによる460MeV,Arイオンを照射したポリジメチルシロキサンから、ヘキサンに不溶な成分がメンブランフィルターにより分離された。不溶物の質量は照射したイオン数に比例した。このことから、トラック内の高い線量領域でゲル化が起こり、個々のトラック内でゲル細線が生成したと考えられる。ゲル細線の質量は照射前のポチジメチルシロキサンの分子量(Mn)に比例し、ゲル細線の半径はMnの増加に伴い増大した。また、ゲル化線量はMnの増加に伴い低下した。ゲル細線の半径は低LET放射線照射時の架橋のG値から数nmと見積もられた。この値はゲル化線量とトラック内線量分布との関係から良く説明できる。
橋本 昭司
エアロゾル研究, 16(2), p.145 - 146, 2001/06
著者がこれまでにかかわってきた電子ビームによる燃焼排煙や揮発性有機物処理の研究で経験した粒子生成の現象を雑感として述べた。また、放射線による粒子生成の材料創製、分離プロセス、環境浄化などへの応用の可能性について簡単に触れた。
山岡 仁史*; 長谷 博友*; 幕内 恵三
JAERI-Conf 2000-001, p.331 - 0, 2000/03
本論文集は平成11年10月25日~29日に京都大学京大会館において開催された第8回日中放射線化学シンポジウムの発表論文を編集したものである。シンポジウムでは合計69件の発表があった。このうち41件が口頭発表で、28件がポスターセッションでの発表であった。本論文集では発表論文を研究内容により5つの分野に分類した。すなわち、A: 放射線化学-基礎(21論文)、B: 放射線化学-高分子(10論文)、C: 放射線化学-生物システム(8論文)、D: 放射線加工(19論文)、E: 高度放射線化学-イオンビームとポジトロン(11論文)である。日中放射線化学シンポジウムの経緯と歴史、本シンポジウムの成果と総括、今後の展望は閉会の部にまとめられている。
玉田 正男
放射線化学, (68), p.43 - 44, 1999/09
平成10年度に開催された応用放射線化学シンポジウム及び放射線化学セミナーについて報告した。応用放射線化学シンポジウムでは直面する環境問題に対し放射線の応用とその可能性の展開を図るため「環境保全と放射線化学」というテーマで8名の講師から講演を受けた。放射線化学セミナーでは放射線と物質との相互作用における物理及び化学過程に関する理解を深めるため「放射線の検知・計測に係わる物理・化学過程」と題して7名の講師から講演を受けて知見を深めた。
勝村 庸介*
PNC TJ1602 98-001, 134 Pages, 1998/03
高レベル廃棄物の地層処分における健全性の確保のためには地下水の化学環境の把握が重要で、化学環境に及ぼす重要な因子として地下水中での放射線誘起反応の検討が必要となる。水溶液中での幾つかの反応系の放射線反応のリストを再整備した。炭酸イオンは地下水共通の溶存イオンであるため、炭酸水溶液の放射線反応の検討が重要となり、その放射線照射により炭酸ラジカル(HCO3・orCO3-・)が生成するが、このpKa値には従来異なった評価がなされていた。レーザーフォトリシス、パルスラジオリシス法により、pKa値を9.50.2と決定し、種々のイオンとの反応を測定した。さらに、ガラス固化体周囲の放射線分布を考慮したときの放射線分解生成物の空間挙動シミュレーションを実施し、ベントナイト中の拡散定数が大きく影響することを明らかにしている。最後に、炭酸水溶液の放射線照射後生成するギ酸、シュウ酸生成量評価実験の初期データも含めた。
荒井 長利; 伊藤 久義; 寺井 隆幸*; 石野 栞*
ECN-R--98-005, p.113 - 124, 1998/00
HTTRを用いた先端的基礎研究は高温照射環境を利用する応用理工学研究を対象とする。提案された研究テーマは新素材開発、放射線化学、核融合研究及び高温計測技術開発などの分野における様々な科学技術的に興味深い課題を含んでいる。HTTR照射試験の可能性と優先性を確かめるため、幾つかのテーマについて予備試験を実施している。本論文では先端的基礎研究の全体的な意義と範囲、予備試験テーマの研究方法とこれまでの試験結果の概要及びHTTR実照射試験に向けての今後の準備計画などを報告する。この報告は、将来的にHTTR照射試験研究の一部を国際共同研究として計画する考えに基づいて、海外の高温ガス炉関連研究機関との最初の情報交換のため、OECD/NEA/NSC主催のワークショップにて行うものである。
放射線高度利用センター
JAERI-Review 96-017, 277 Pages, 1997/01
本年次報告は、高崎研究所イオン照射研究施設(TIARA)で、1995年4月から1996年3月までの間に実施された研究活動をまとめたものである。1)宇宙用半導体、2)バイオテクノロジー、3)放射線化学及び有機材料、4)無機材料、5)材料解析、6)核化学及びラジオアイソトープ製造、7)加速器施設の放射線遮蔽、8)加速器技術の8部門にわたる84編の研究報告と、施設の運転・利用状況、公表された文献、企業・大学との研究協力関係、研究開発・施設運営組織を収録する。
小泉 均*; 田口 光正; 南波 秀樹; 市川 恒樹*; 吉田 宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 132, p.633 - 638, 1997/00
被引用回数:5 パーセンタイル:46.15(Instruments & Instrumentation)固体アジピン酸の線、175MeVAr,220MeVC,及び350MeVNeイオン照射によるラジカル生成をESR法によって測定した。イオン照射によるラジカル生成収率はクリティカルフルエンス(Arイオンの場合は510ions/cm,C及びNeイオンの場合は10ions/cm)以下では一定であった。一方、それ以上のフルエンス領域では、イオンフルエンスの増加にともない減少した。ラジカル生成のG値はそれぞれCイオンで5.6、Neイオンで2.3、Arイオンで0.65であった。アラニンと比べてアジピン酸ではより大きな線質効果が得られたが、これはラジカル生成における収率の線量依存性の違いによって説明される。
館盛 勝一; 北村 竜明*
JAERI-Data/Code 96-030, 116 Pages, 1996/10
様々な原子価のウラン、プルトニウム、ネプツニウム、テクネチウム等が共存する硝酸水溶液系において進行する化学反応:酸化・還元反応、放射線化学反応、不均化反応(全部で68種)を、速度論的に追跡するシミュレーションコード:REACT-Modを開発した。ここで採用した数値解法は、速度式の常微分方程式を修正Porsing法で解く純速度論モデルと部分平衡論(Two step modelによる)モデルがあり、前者のみに硝酸水溶液の放射線化学反応式(27個)が組込んである。計算実行時にどちらのモデルを使うかを選択する。この報告書は、REACT-Modのモデルの概要や内容の説明のみならず、プログラム利用者への手引きをも兼ねている。
小泉 均*; 市川 恒樹*; 吉田 宏*; 南波 秀樹; 田口 光正; 小嶋 拓治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 117, p.431 - 435, 1996/00
被引用回数:20 パーセンタイル:82.77(Instruments & Instrumentation)175MeVのAr、460MeVのAr、220MeVのCならびに350MeVのNeのイオンを固体アラニンに照射し、生成するラジカルをESRで調べた。ラジカルの収量(入射イオンあたりのラジカル数)は、臨界フルエンス(Ar:10、C:10、Ne:510イオン/cm)までは一定であり、それ以上ではイオンフルエンスの増加に伴って減少した。低フルエンスでの一定収率の値より求まるラジカル生成のG値は、LETの単純な関数ではなく、イオントラックの横方向の線量分布で説明できる。イオントラックの形を単純な円筒形と仮定することにより、G値からイオントラックの半径を見積もることができる。その値は8~25nmで、0.5~3MeVのHやHeのイオン照射・半径2~5nmよりも大きかった。線照射のアラニンからの線量-収率曲線の関係を用いて、円筒形トラックでシミュレーションして得られたフルエンス-収率曲線は、実験値とよく一致した。
先端基礎研究センター
JAERI-Conf 95-020, 81 Pages, 1995/10
1995年7月31~8月1日にわたり、東海研究所で開催した「第1回低温化学セミナー、-トンネル反応と極低温技術-」での講演を論文集として編さんしたものである。